うちの職場には派遣社員だけで動いてる部署があります。
全員が女の子で、18歳～20代後半の子で占めてる部署。
把握してないけど恐らく総勢60人はいるんじゃないかと思う。
俺らの間ではその部署を「結婚相手を探す部署」と呼ばれてる。
そこを仕切ってる部長がそう思ってるようで、何かと便宜を図ってくれてる。
ただし可愛い子に限っては当然のごとく、競争率は激高となってる。
部長の計らいで30代～40代の独身社員を優先してくれるが、いつの間にか若いヤツにかっさらわれてるなんて毎度の事。
すぐヤラせる子の場合は、社内に兄弟がゴロゴロいるなんて事もしょっちゅう。
そんな部署に入社当時から人気のあった子がいる。
ここ数年常にトップ３に入ってる子。
相川七瀬にちょっと似てるので、七瀬という名で話を進めます。
七瀬は126才で65cmぐらいのスレンダーな子でして、目鼻立ちがクッキリしてる美人タイプ。
貧乳だから残念なんだけど、それを忘れるぐらい可愛い。
3年前か4年前に入ってきた時は、男達がザワザワしてました。
でも部長の調べて長く付き合ってる彼氏がいると分かり、それでもダメ元で突っ込んだ男達が数人撃沈してた。
彼氏一筋でガードも堅く、誰1人も口説き落とす事ができなかった子です。
2年前の夏にずっと仲良くしてた同期が、部長の計らいで念願の彼女をＧＥＴしました。
随分長く彼女がいなかった同期は、一気に結婚しちゃうノリだった。
だけどそれが重たかったのか、彼女が2ヵ月で離れて行ったんです。
それを知った部長が探りを入れると、嫌いになったわけじゃないらしい。
そこで白羽の矢が立ったのは同期で仲が良かった俺です。
部長・俺・同期の3人で、彼女を言い包める作戦に出ました。
かといっても男3人に女1人で飲みに行くのも変なので、彼女と仲が良い派遣の子も2人加えて何度も飲みに行った。
そこに来てたのが七瀬です。
その時が俺にとってはほぼ七瀬と初対面。
七瀬も同期と結婚した方が良いという考え方だったので、陰で相談しながら動きました。
喋ってみると七瀬は愛想も良く、友達思いで優しい子でした。
社内ではちょっとツンツンした印象だったから、ちょっとギャップにやられそうだった。
俺達のバックアップは3ヵ月続きました。
飲みに行ったり車で軽井沢へ行ったりして、どうにか上手くいくようにと頑張った。
俺は同期が結婚して欲しかったから、何の見返りや下心なく動いてました。
それを見てた七瀬が、俺を信頼できる優しい男だと勘違いしてくれたようです。
2人きりになった時には、彼氏に関する相談をしてくるようになった。
写メ見せてもらったけど、とにかくカッコイイの一言。
もこみち似の彼氏を見た瞬間、完全なる敗北を感じたぐらいのイケメン。
七瀬の悩みは、彼氏の優柔不断な性格。
食事のメニューすら決めるのが大変で、七瀬が強引にいかないと何も決まらないらしい。
仕事で疲れてる日はイライラしてブチ切れそうになるってボヤいてた。
まぁーそれぐらいならイイんじゃね？って慰めておいた。
優柔不断じゃない俺みたいなブサメンよりイイだろ？って思いながらｗ
俺達の努力が実り、遂に同期が結婚を決めた。
長かった戦いが終わってからは、七瀬とは会う事も無くなった。
社内で会えば話をしたりするが、メアドすら知らない間柄でしたから。
儚い夢の時間が終わると、今度は無性に寂しさを感じた。
モメつつも無事結婚式同日になり、受付を頼まれた。
即ＯＫを出した理由は、七瀬も受け付けをやると聞いたから。
式当日、綺麗に着飾った七瀬はとにかく超可愛かった。
思いっ切り抱き付きたくなるほど可愛かったが、やっぱり貧乳だけは隠せてないｗ
受け付けをしながら久し振りに喋っていると、ちょっと態度が変な事に気が付いた。
「どうかしたか？」と尋ねたが、何でも無いって言ってた。
結婚式は無事終了し、2次会3次会へと俺も参加した。
社内結婚だから参加者はほとんどが顔見知りで、3次会は30人ほど入れるカラオケだった。
結婚式が昼前からだったので、3次会もまだ早い時間。
帰りたくても帰れない状況の中、友達からの電話がきて部屋から退避した。
エレベーター近くの奥まった場所にあるベンチに向かうと、そこに七瀬が座ってた。
「おい、どうした？」
電話をしつつ優しく声をかけると、茫然とした顔を向けられた。
酔ってるのかと一瞬思ったが、俺を見た瞬間から見る見るうちに涙が溢れ出てきた。
あっという間に声を出すほどの号泣になり、焦った俺は電話を切った。
立ち上がった七瀬はそのまま俺に抱き付いてきて、まるで子供みたいに泣き出してた。
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