全員振り返るわけです。Aさんともう1人は立ち止まる。でも友部だけはすぐに歩き始める。えっ?えっ?となりAさん達も歩き始める。振り返ると男性3人は相談するような感じで喋って立っていた。
「知り合いじゃないの?」Aさんが友部にそう尋ねたが「ぜんぜんw」と笑われたという。
その日の晩から友部は学校へ来なくなった。連絡しても無反応だったので、部屋でぶっ倒れてるのかと思い、2日目の昼過ぎに友達と見に行ったAさん。すると見知らぬ男が出迎えたという。
その男を見て「あっ!」と声が出た。そう、この前街中で話し掛けてきた男の1人だったから。ニコニコして愛想も良く、友部の親戚だというのだ。体調が悪くなって、今帰省中なんだって。
あ、そうなんすか、となり、帰ろうとした時、「君、A君だよね?」とAさんだけが名指しで呼ばれたという。変だとは思いつつも親戚だとかいうし、友部の部屋にいるし、不思議だったけど「ライン教えといて」と言われたので教えたらしいのです。
なんかあったら連絡するから。
優しそうな笑顔でそういわれたという。
それから1ヶ月ほどしたある日、その人からラインがきた。友部が退学したっていう内容。同級生たちに借りてる物とかあるかな?とか聞かれたらしい。部屋を引き払うから、もし誰かのモノがあるなら取りに来てくれないかって。そこで思い出したのがマンガ。別にどうでもイイけど、なんかね。
というわけで取りに向かったAさん。出迎えてくれた友部親戚さん。中に入ると奥の部屋に男がもう1人。前に会った多分スーツの男。思わず「あ、どうも」とペコリ。
「やっぱり君達って頭のデキがイイのかなw」
「へ?何で・・・でしょうか?」
「俺の顔もコイツの顔も君覚えてたでしょ」
「あ、いや、まぁ、はい」
「別に君が何かしてくるとも思えないんだけどさ・・・」
Aさんは俺にこの時の話をしてる時、めっちゃ恐怖を感じている態度でした。早口になってたし。
「これ?漫画って」友部親戚さんが棚から漫画を手に取る。それに対して「あ、はい、それです」と答えるAさん。でも目の前で男がタブレットを操作してる。
「これ見て?ほら」
そういってタブレットを見せてきた。ちょうどマンガを手に持った瞬間だった。
そこには猿ぐつわをハメた友部の姿が。慌ててマンガを落としそうになったらしい。だって友部は全裸で、しかも産婦人科で使うような器具の上で固定されてるんだもん。
でも暴れていない。ぐったりしてるような、夢見心地のような、変な映像。
「彼ね、さんざん酷い事しちゃっててさ、知ってるでしょ?」
「いや、え?酷いこと?」
「家出してきた子達、ここに連れ込んでたの知らない?」
「いや、ぜんぜん」
「小学生やら中学生を連れ込んでたんだよ」
「そうなんですか・・・・」
「でさ、薬漬け」
「え???」
「だからこうなったの」
そう言って次の動画を見せられたAさんは吐きそうになったらしい。そこには友部が男に犯されている映像が映し出されていたから。抵抗することもなく、ただただバックで突かれている姿だった。
「簡単にいえばお仕置きだね」
「・・・・」
「人生メチャメチャにされちゃった子たちが可哀相じゃん?」
「あ、え?あ・・まぁ、はい」
「だから彼も同じようにしてあげないとさ」
その間にも友部親戚さんが「これも?」とか漫画を手に取り尋ねてくるので、もうどう対処したら良いのか分からなくてパニックになったって言ってた。
まさに「静と動」を同時に繰り広げてくるパターン。
何をされる事も無く部屋を出されたAさん。最後まで親戚さんはニコヤカだったらしい。「また来てね~」といわんばかりの軽い口調で「じゃ~ね~」って言われたとか。それが逆に超怖かったって。
Aさんは前に友部から映像を見せられてる、だから男が喋った内容はほぼほぼ知っていた。でも知らないフリをすべきだと瞬時に考えた。たぶんそれが大正解だったのだろう。
2人の会話からすると、誰かの依頼で友部がお仕置きをされている。そしてもう日常生活には戻れない。実際にしばらくして親御さんが探しに来て、失踪扱いになったみたいです。
でも地元では友部は海外留学したってことになってる。連絡しても返事がないので、妹だとかに聞いたら、お兄ちゃんは留学したって言われたとかなんとか。失踪という話は聞かないらしい。
あれからもう随分経つ。偶然とある場所でAさんと再会したのだ。さっそく友部の話題になったが、Aさんもあれから全くだという。あの2人からも連絡ないし、周りでも知ってる人は皆無だという。
俺も同じ。地元では留学したって話になっていたし、その後も誰も知らないと伝えた。俺もAさんも同じだと思う。妙にズシッとした何かが胃の中にあるような気持ち。その重さが時々思い出したかのように感じられる。いったい何なのか、この得体の知れないイビツな感覚は何か。
もちろんフィクション、創作話です。楽しんで頂けたら幸いです。

エロスっていうより怖かったですwでもこうした創作モノも募集していますので、ぜひご投稿下さい!ちょいエロでも個人的に好きなので。
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