大学卒業後、普通に企業へ就職した。
でも最悪な上司の下で働く事になり毎日が地獄だった。
結局1年目は体を壊し2回ほど入院し
2年目の秋、無意識に手が出てしまい即刻クビに。
事情を知ってた同期や先輩方が上層部に直談判してくれたがダメだった。
「手を出す＝犯罪行為」という結論は変わらず。
でも「懲戒免職」から「戒告」になり、病気を理由に自主退社という形に。
この処分のお陰で今があるので、本当に感謝している。
未だにその当時の同期や先輩方とは繋がりもあるし、年数回は飲みにも行く。
ただその当時はちょっと病んでましてｗ
「なんで俺がっ！！」みたいな感情が押さえ込んでも溢れ出てくる感じで。
荒んだ毎日を過ごしていたわけです。
でも仕事をしなきゃ生活もできないわけで、とりあえず就活を開始した。
前職の話を面接で聞かれると、スイッチが入っちゃう事もしばしば。
そんなアホを雇ってくれる会社なんてあるわけがないｗ
そこで友達の知り合いを経由して、探偵事務所でバイトする事になった。
「精神的に病んでて他人と接触したくないんだって？ｗ」
笑いながら社長がそう言い、都合が良い仕事あるからと雇ってくれた。
それが張り込みｗ
そりゃ～誰とも喋らんわｗ
難しい時は男女で張り込んだり尾行したりするみたい。
だから俺が命令されるのは簡単な張り込みばかり。
俺も詳しくないから知らんけどさ、例えば街中と田舎じゃ全然違うじゃん？
人がいない田舎で俺がずっと張り込んでたら超怪しいでしょ。
車で路駐してても目立つわけで。
逆に渋谷とか新宿とか人が多い都会だったら目立たない。
簡単に言えばそういう違いね。
いちばん警戒してたのは通報だったけど、案外むいてる仕事だったのかも。
1度も通報された事もないし、張り込み失敗とかネタ逃しも皆無だったから。
そんなバイトを初めてちょっとした頃、人妻の不倫調査が舞い込んできた。
依頼主は旦那さんで、確実に不倫はしてるから証拠を押さえて欲しいという。
社長も「今回は簡単だと思うから」って事で、俺に「行ってきて」とひと言。
ホントに簡単だったｗ
早速その日から調査を開始したんだが、次の日にはバッチリ証拠を掴んだ。
写真も撮ったし動画も撮った。
不倫相手もすぐに判明した。
奥さんが以前働いていた会社の同僚で既婚者子供あり。
警戒する事もなく、食事の後ラブホに入っていく。
手繋いでたり腕組んだりして楽しそうだった。
不倫てこんなに警戒しないもんなの？って不思議に思った。
普通に駅前で待ち合わせして、楽しそうに食事もしてさ。
終電前にはラブホから出てくるけど、駅で「またね～」って普通のカップル。
そうそう、奥さんは31歳で、同僚は36歳。
2人とも爽やかで、イイ感じのカップルに見える。
奥さんも楽しそうな笑顔ばかりだし、同僚もイケメンだし。
傍から見てると不倫とかしそうにない奥さんに見えたんだよねぇ。
証拠はすぐ集まったので、暇潰しに他の事を調べてみた。
そこからいろんな事が見え始めてきた。
まず奥さん。
某地方都市で名家と言われる家の娘さん。
資産家で現在は兄2人が実家を継いでいるという。
嫌な噂も聞かないし、逆に同性からも好かれている。
かたや旦那さんは、幼少期に両親が離婚してからドン底の暮らしに。
奨学金で大学に行き、結婚してすぐに奨学金は一括返済。
恐らく奥さん側から出たんだろうなと推測される。
facebookって凄いよね、簡単に周辺の話が入手できるんだから。
奥さんの時もそうだったけど、この旦那さんの時も大活躍だった。
そのfacebookによると、旦那さんはぶっちゃけ嫌われ者。
調子が良くて強い方になびく典型的。
ニュアンスだけど親友と呼べる友人はゼロなんじゃないかな。
面白い話があったのでちょっと紹介するとね･･･
ある日ジュースを買おうとしたら、俺にもって旦那が言ったらしいのね。
その友達が「自分で買えよ」と言ったら「チッ、ケチだな」と言ったらしいｗ
それから数日後、周りに「アイツはケチでセコい」と言いふらす旦那。
ムカついて喧嘩になったら、殴られた！と職員室に逃げ込むｗ
先生たちに助けを求め、案の定その友達だけが親まで呼び出される始末。
調べたらこういう話がジャンジャン出て来る男だった。
こうなってくると不倫の理由が気になる。
そこで社長に「何か変なので･･･」と報告。
「忙しいから勝手にやってて良いよ」と投げやりな社長に救われたｗ
旦那には「もうちょっと」と言い、追加料金はいらないと伝えた。
「1週間もあれば十分だとか言ってたよねぇ！」
「はい･･すみません」
「おたくの無能さのせいで、俺がお金吸われ続けるわけ？」
「いいぇ、そんな･･」
「払わないよ？イイよね？」
「社長と相談しますので･･･」
こんな会話の後、社長が「追加はイイよ」と言ってくれたので助かったｗ
それで遠慮なく他の調査に入れた。
もう哀しすぎる話だったよ。
結果的には精神的に病んでた俺を救ってくれたのかもしれないｗ
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