大学を卒業後に就職した会社で課長には随分とお世話になった。
これはイイ意味でじゃなくて悪い意味で。
本人は全くに近いほど仕事をしない。
部下が持ってきた仕事を横取りしてるだけの上司。
それを部長とかも知ってる最悪な会社だったから、潰れるのも時間の問題と思ってた。
さすがにこの就職難のご時世だから、潰れてくれとは思ってなかった。
でもやっぱり入社して3年目に倒産。
3年間、俺はムチャクチャ頑張ってた。
その姿をお得意様だったある企業の方が見て下さってて、幸運にも直後に誘ってくれたお陰で俺は無職にならずに済んだ。
同僚達がその後どうなったのかは詳しく知らない。
倒産して1年ぐらいは時々飲みに行ったりして近況の報告をしてたんだけどね。
やっぱりすぐに決まった俺にイイ想いなんて無かったんじゃないかな。
当り障りのない事しか聞いてなかった。
でも課長の情報は皆知ってた。
奥さんの実家が会社やってて、そこに土下座する勢いで転がり込んだって話。
小さい会社だからずっと見下してたらしい。
なのに無職になった途端に泣きついてきても、誰も優しさなんてかけてくれない。
50歳目前に無職は厳しいですからねぇ~。
でも奥さんが周りに頭を下げまくってどうにか話をまとめたって聞いた。
そんな課長達の事は頭からすっかり消えてた。
連絡も取ってなかったから、どこに住んでるとかも記憶になかった。
まさか近所になるとは思ってもいなかった。
去年の夏、将来の事を考えて引っ越しをした。
会社が用意してくれてるアパートだけど、駅から20分も離れてつ築30年越えの建物。
会社が一棟買いしちゃってるんだけど、誰も入りたがらないというアパート。
誰も住んでないと余計誰も住みたがらないわけで、ここ何年も全室が空いてた。
そこが破格の家賃で住めるとなり、俺を含めて同年代の野郎たちが引っ越す事に。
ちょっとした寮みたいな気持ちでした。
今後の事を考えた会社側が内装のリフォームまでしてくれちゃって。
外観はオンボロ荘って感じだけど、中には入れば超綺麗な部屋w
しかも古い建物だからなのか、間取りがちょっと広くてイイ感じだった。
おっと、関係ない話を長々と書いちまったw
話を元に戻しますね。
引っ越して1ヶ月ぐらいした頃、日曜日の午後にスーパーで課長夫婦と再会した。
奥さんに発泡酒2箱入ったカートを押させてるクソオヤジ。
「どうだ?最近は」なんて未だに上司面してきてた。
もう昔の会社の頃よりも給料も待遇も立場も上になってますって報告しておいた。
それを聞いてた課長は苦笑いしながら「良かったな、まぁ頑張れよ」と虚勢。
にしてもこのクソオヤジはホントに最悪。
1人涼しい顔して後ろに手を組みながらフラフラ歩いてる。
その後ろを汗を拭きながらカートを押す奥さんがついて回ってる。
商品を眺めてアゴで奥さんに命令とかしちゃっててるんだよ。
結婚したのは奥さんだから、他人がどうこう言う問題じゃないんだが。
そのスーパーは夜の0時まで営業してる。
その地域ではそこしか無いって感じなので、当然仕事帰りに寄って帰る。
するとだいたい22時半前後に課長の奥さんと出会う事が多かった。
初めのうちは「ど~も~こんばんわぁ~」的な挨拶。
何度も顔を合わせて行くと「あら~今日も遅いんですね」なんて声を掛けられ、ちょっと他愛もない会話をするようになった。
ちょっと奥さんの事を書いておきます。
年齢は42歳でどちらかと言えばスレンダー系。
ちょっとタヌキ顔で笑顔が多くて愛想も良い。
会話してると時々ちょっとした時に艶っぽい口調や動きをする熟女さん。
熟女好きな人からは好かれそうな印象を受ける。
ちなみに子供は2人で、小学生と中学生。
11月に入った頃、またスーパーで課長の奥さんと会った。
チャリの荷台に発泡酒2箱を積んでフラフラ状態だったのを目撃。
シカトできずに俺がチャリを押して送っていく事に。
うちとは真逆の方向にある公団住宅の3階で、仕方なく家まで運んであげた。
「ありがとなー」奥からそう声を掛けるだけの課長にキレそうだった。
その後は奥さんの運転する軽でアパートまで送ってもらった。
ちなみにスーパーには駐車場がない。
それから2日後の日曜日の午前中、見知らぬ番号から電話がきた。
出てみると奥さんで、課長に渡した名刺を見てかけてきたらしい。
「今日の夕飯どうすの?」と聞かれ「近所で食べるか自炊する」と返答。
すると頂いた栗で栗ご飯を作ったから食べるかと聞かれた。
勿論と答えると、後で持って行くと言われた。
出かけたりした後、16時過ぎに奥さんが持ってきてくれた。
玄関先で帰すのも変だと思い、どうぞと中に招き入れた。
外観と内装の違いに奥さんもビビりまくってた。
お茶を飲みながら世間話をしていると、急に奥さんから真面目な話をされた。
「以前の会社で主人がご迷惑をお掛けしてたでしょ」と。
詳しくは分からないにしても、モメた事もあったらしくある程度は知ってた。
俺は「いえいえ、たいした事じゃないっすよ」と返答。
でもそこから課長への愚痴がヒートアップ。
なんと次女が高校生になったら離婚も考えているという。
ずっと子供達の事を考えて離婚したくなかったと。
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