美奈代さんと初めて出会ったのは7~8年前。
当時まだ俺は学生でした。
綺麗な奥さんだな~って思ってただけで、口説くとか手を出すとか考えた事も無かった。
偶然マンションの近所やコンビニなどでの買い物で顔を合わせてただけです。
当初は近所のどこかに住んでる奥さんなんだろうなって思ってた。
名前だって知るわけも無かった。
そんな美奈代さんとお近づきになったのは本当に偶然でした。
4年の夏にマンションの前で子供がチャリで転んだのを目撃したんです。
小学生の低学年らしき男の子で、友達も誰も周りにいない状況でした。
「大丈夫?」と声をかけて近寄ると、ヒザやヒジなどを怪我してました。
「お家はどこなの?近く?お母さんいるかな?」
子供は泣きじゃくって頷くだけ。
仕方なくチャリをマンションに置いて、その子を抱き抱えて家まで送り届けたんです。
チャイムを鳴らして出てきたのが美奈代さん。
幸い擦り傷だったので、リビングでコーヒーを頂いて帰りました。
次の日の20時頃だったでしょうか、美奈代さんがケーキを持ってやってきました。
美奈代さんには子供が2人いて、怪我してたのは下の子でした。
小学5年生の子までいると聞いて、見た目からは想像できないなぁ~と驚きました。
年齢は聞いて無かったから、20代後半ぐらいだと思っていたので。
実はもうその時は既に30代半ばだったんですけどね。
凛とした雰囲気もあるしお淑やかで品のある雰囲気もある。
だけど人懐っこい態度というか口調もあって、絵に書いたような上品な奥さんでした。
それでも特に仲良くなる事も無く、会えば挨拶をして少し喋ったりするぐらい。
そんな関係が数年間続きました。
就職して2年目、久し振りに美奈代さんとスーパーで出会いました。
吃驚したのは美奈代さんのお腹です。
誰がどう見てもポコッと大きくなっていて妊娠中だと分かりました。
荷物を持ってあげて家に向かってる時、不妊治療までして妊娠した話を聞いた。
なんでも旦那さんがもう1人欲しいと譲らず、病院へ通って体外受精したらしい。
大変だったようで聞きもしないのにペラペラと喋り倒しだった。
妊娠しない問題は美奈代さんの卵子にあったとか、費用が莫大にかかったとか。
それからスッカリ会わなかったので忘れてた。
また偶然出会ったのはそれから1年半ぐらいした頃でした。
「お子さんお元気ですか?」
妊娠してたのを思い出したので、第一声はそんな感じでした。
美奈代さんは苦笑いをしながら、「流産しちゃったの」と言ってきて困った。
立ち話だけだったけども、美奈代さんは「これで良かったと思うの」って言ってた。
無理やり妊娠させて出産するなんて、やっぱり不自然だからって。
宿った我が子を失った悲しさは感じられたけど、そこまで落ち込んでるようには見えない。
困惑してた俺に「気にしてないから気使わないで」と肩をポンポンされた。
それから3年ぐらいした頃、確か俺が28才だったかな。
地元の友人と初めて近所の居酒屋へ行った時、元気なオバチャン軍団と遭遇しました。
個人経営の小さな地域密着型の居酒屋だから、近所の人が多いのは知ってました。
お客の半数がオバチャンだったので驚きましたが、その中に美奈代さんもいて驚きました。
ワイワイガヤガヤするようなタイプに見えなかったから。
声を掛けられて軽く挨拶だけしておきました。
でも1時間もすると美奈代さんはこっちのテーブルに来ちゃってました。
7人いたオバチャン軍団が続々やってきて、最終的には一緒に呑んでたという状況。
オバチャン軍団の覇気に圧され気味だったが、かなり面白い事に気が付いた。
子供の同級生の集まりみたいで、ほとんどが40代に見えた。
だけどカッコイイ男を見ると酒の勢いもあるのか女になるんです。
地元の友達ってのが本当にカッコイイ男なので、それに群がって女に変貌しちゃってました。
ただこの友達は見た目はワイルドだけど、超がつくほどの草食系なんです。
本当はドMでクンニ好きな絶倫野郎なのに。
呑みながら美奈代さんが元スッチーだった事も知った。
だからこんなに美人なのかって納得した。
しかも旦那さんは社長さん。
連れ去られるように駅前のカラオケへ拉致られました。
疲れてた俺は廊下の隅で休憩してると、そこに美奈代さんがやってきました。
「ゴメンね~」と何度も謝られた。
酒に酔ってて顔が少し赤くなった美奈代さんはとにかく妖艶そのもの。
横に座ってるから自然と顔も近くにあり、まるで吸い込まれていきそうだった。
その頃はもう美奈代さんだって40代なのに、肌艶が未だに現役バリバリ。
笑うと少し目尻に小じわが寄るけど、近くで見てもほんっとに美人だな~と感心する。
俺が見惚れてるのに気が付いたようで、「ちょっと~そんなに見ないでよ~」と小突かれた。
「だってこんな美人と喋る機会無いっすから」
本心でそう言った。
そしたら美奈代さんまで照れちゃって、「またまたぁ~」と何度も肩をぶつけてきた。
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