気が付けば周りにはヲタ気味の友達ばかりいた。俺は別にアニメとかアイドルとかに、異常な愛情を注ぐほど好きってわけじゃない。普通に運動部だったし、勉強もそこそこだったし。でもなぜか親しくなる友人達はヲタ気質のあるヤツらばかりだった。
中学・高校・そして大学と、やっぱりそんな友達に囲まれてた。特に大学は理系の学部だったので、さらに色濃い趣味嗜好の友達が増えたかな。そんな俺になぜか絡んでくる同級生がいた。
高校時代の同じ部活だった友達がいて、そいつは運動の推薦で入学したんだが、よく学食とかで顔を合わせていたんです。その流れでちょっとした遊び心で部活の方に顔を出した事がありました。
多分それが原因だったのかなと思う。ほとんどが推薦で入ってきた人達だったから、それはもうレベルも高いわけです。でもちょっと加わったら俺以下のヤツも普通にいる。とはいえ試合とか本気出したら俺なんてもうデキないよって笑ってた流しておいたんです。
めっちゃショックだったのかな。まぁ~気持ちはわからんでもない。
時は流れ2年の終わり頃、ちょうどコロナが大流行する寸前の10月です。いつもの友達と大学近くの居酒屋で飲んでいた時でした。突然見知らぬ男から話し掛けられました。しかも馴れ馴れしく。
ヤツは自分の事知ってるでしょ的なノリだったので、ずっと誰だろう・・・って思いながら話を聞いてた。「アンタ誰?」なんて言えないしね。
どうやら上で書いた部活の人みたいで、俺が顔を出した時にいっしょにプレーしたらしい。けっこうな人数がいたから記憶になんてあるわけがない。とはいえ学食とかでもちょいちょい顔を合わせてるとかw
そいつは見るからにオラオラ系。ちょっとEXILEっぽいタイプ。細マッチョっぽくて。しかもイケメン。なんか沖縄っぽい感じで濃い顔立ち。
そんなんだからいっしょに飲んでた友達はちょいビビってた。そりゃ~ね、中高時代にそういうヤツとのイイ思い出なんて無いだろうからさ、向こうはリア充、こっちはヲタク、みたいな感じでさ。
そんな空気を察したのか、さらにゴリゴリでくるわけ、そのイケメン野郎が。「博士になったりしちゃうんでしょ?」とか「この日本を頼みますよっ!」とか意味不明なノリ。その調子の乗ってた理由はすぐに分かった。彼女がいたから。めっちゃ可愛い彼女に強気な姿を見せたかったみたい。
逆にカッコ悪いじゃん・・・・て思ったが、イケメン君はノリノリ。でも最後には見てられなかったようで「もうこっち来なよ」って彼女が。素直に戻っていったイケメン君だが、トイレとかで立つ度に俺達のところに寄って、就職先の話とかずっと喋ってた。正直ウンザリだった。
帰る頃にはけっこうデキあがってて、彼女可愛いだろ?あんな女と付き合った事ないだろ?とか言って絡んできてた。そりゃ~ね、俺達はそんなイケメンじゃないからさって話。「もしかして童貞?」「そんな感じだよな~」「なんなら彼女どう?口説けるならイイよ?」「確実にムリだと思うけどw」
ずっと失礼極まりない事を喋ってるんだが、優しき友達はみな怒りもせず聞いてあげてた。調子の乗ってきたイケメン君は「じゃっ、連れてくるから!」と言ってマジで彼女を連れて来た。
近くで見てもめっちゃ可愛い。まさにリアルドールですわ。少し垂れ目で薄めの顔立ち。オラオラ系の彼氏とはうってかわって清楚系。しかもスタイルが良くて高身長。マジで別格。
「こいつら童貞だって言うからさぁ~お前に頼んでみればって言ってたんだよwww」「ちょっとヤメなよ、失礼でしょ」「大丈夫だよ、同じ学校だしさwどう?童貞卒業させてあげちゃう?」「そんなわけないでしょ、もう戻るよ」俺達に何度も謝りながらイケメン君を引き剥がしていった彼女。
「あんな男とよく付き合ってるな、イイ感じの子っぽいのに」と友達がいう。変な空気になったので笑いながら「じゃ~やっぱりお願いした方が良くね?特にお前はw」って言ったんです。鼻の周りが黒い子供の柴犬みたいな見た目に、毛深くてずんぐりした体型で低身長。そして童貞。
「な!俺もそう思ってたんだよ!w」と本人も自虐的に言って笑ってた。「あんな美人だったら土下座しちゃうよな~www」と他のヤツも言い始めてやっと空気が明るくなった。
なのにまたその後も3回ほどイケメン君が絡んできて、また彼女が連れ戻すって事が繰り返された。
その日はそれで終わった。これも運というやつか、また会っちゃったんです、そのカップルと。しかも今度はカラオケで。俺達はむさっ苦しい男5人w
今回はそんな酔ってる感じでもなかったのに、この前の事考えた?とか言い出して絡んできた。もうブチ切れてもイイかな?ってイケメン君と同じ部活にいる友達にラインした。喧嘩はしないで欲しいけど、軽くキレといてもイイよって言われたんです。だからもうその気満々になってきた俺w
でもそこに彼女がやってきて、また謝っていく姿を見るとね、何とも言い難い。こんな事を繰り返してたんだが、ちょうどトイレ前で彼女とバッタリ会った。また謝られたから「彼女さんも大変だね」って返しといた。そしたらなんか急に泣き出しちゃって。溜め込んでたモノが一気に溢れ出たみたいな。
「ごめんなさい、ずっと誰にも相談できなかったし、なんか、誰も分かってくれなくて」
よく意味が分からんので軽く受け流す事にw「何かあったらいつもで相談に乗ります」とね。こんなの社交辞令じゃないっすか、普通に。なのに「ホントですか?!」と彼女。しかもすぐにスマホ取り出してきて「ライン聞いてもイイですか?」って。えっ?世の中ってこんな感じなの?って固まったw
久し振りに女子とのライン交換wこんな可愛い子とは人生初。だからかなり舞い上がってた。でも次第に気が付いていく。めっちゃ面倒臭い子だったということに。地雷とは言わない、でもそれに近いw
まず夜は寝るまでずっと短文ラインが続く。「まとめて書いてくれない?」って思うぐらい短文を時間差でブッ込んでくる。だから1つ1つに返事を返すのが超絶に苦痛。かと思いきやいきなり長文を送ってきたりする。内容は友達との悩みや彼氏とのイザコザなどなど。
俺は別に彼氏から奪う気もないので、丁寧に答えてただけ。というより彼氏に戻るよう促す感じでした。もう別れようかな的な事を言われても、別れないように話を持っていったり。だからイケメン君に恨まれることなど1mmも無い。なので余計ムカついたのかも。
彼女とラインするようになって2ヵ月ほど。街はクリスマス一色。学校のテストや手提出するレポートなどがありもうバッタバタ。そんなある日のお昼に学食でイケメン君に話し掛けられた。
「いつも彼女がお世話になってます」
あ・・ラインがバレたのね?とすぐに察知。でもやましい事など一切してない。しかも俺から「おはよう」とか「おやすみ」とか言った事すらないしね。だから「いやいや」って軽く流した。それがムカついたのか、前に童貞君って話をしていた友達の隣に座ってきて、グチグチ始まったんです。
彼氏に黙って男とラインする女ってどう思う?とかね。友達は「ん~浮気じゃなければイイのでは?」と真顔で返答w「でもそこから浮気になる可能性もあるじゃん」とイケメンも負けてない。
友達「好きな彼女なら信じたほうがイイと思う」
イケ「まぁ~ねぇ~口説けるほどレベル低くないしね~」
友達「でもラインしてたのなら口説かれるかもしれないよね」
イケ「絶対ムリ、それはないwwwなんなら口説いてイイよって感じwww」
ここまで小馬鹿にされるとは思っていなかったので軽くキレてみた。そしたら「イイよ?マジで口説けるならやってみな?」とマジでブチ切れてきたw事情が分からない友達はキョロキョロ。近くにいた高校の同級生が飛んできて「どうした?」と焦り顔。だから「何でもないよ」と俺。
コメント
エロさは物足りないけど読み物としてはめちゃめちゃ楽しめた!