その後は青木が勝手に動いてて何も知らないと、友人は言ってた。
それから随分としてから突然また青木から、俺を呼んで飲みに行こうぜ！と言われる。
アイツとは昔仲が良かったから、俺が行くとか絶対言うなよ？驚かせるんだから、と。
それで3人で会う事になったわけだが、友人も不思議で仕方が無かったみたい。
俺にまで迷惑かけたのかと心配になり、数日後青木に聞いてみたという。
そしたらもう俺に動画のアップロード先を教えていた青木は、豪華な中華料理を御馳走しながら教えてくれたとか。
全てが高校時代の裏切りが始まりで、いつかアイツに何かしてやろうと思ってた青木。
俺と理恵が仲良く歩いている姿を偶然目撃してから、あの時の女とまだ･･･という事を知り、はらわたが煮えくり返ってた青木。
どうにかしてと思っていたら、偶然友人の借金を社内で知って利用したらしい。
友人も青木に理恵のビデオを見せられ、とんでもない事をしたと気が付いた。
「今心療内科に通っててさ･･･」という友人は、薬の束を俺に見せてくれた。
謝っても許される事じゃないのは分かってる、だけど何にも知らなかったんだよ、って絨毯に額を擦りつけて泣いてた。
「その青木は今どこにいるの？」
「えっ？知らないの？」
「なにが？」
「あいつ・・・・」
詳しくは書きませんが、日本にいるけど遠い世界で暮らしているらしい。
青木と会う事は多分もう無いと思う。そんな状況にヤツはいます。
青木から携帯で見せられた1分ぐらいの動画と、断片的に見たあの動画。
それが幸いだったのか、彼女に裏切られたという気持ちよりも、理恵の方が心配になりました。
たぶんアレらを全部見てたら、友人の家に行ったりとかは出来てなかったと思います。
見なくて正解だったなって今でも思っています。
すぐに理恵に電話をして家に向かいました。
夜だったので家族は全員いましたが、軽く挨拶だけして部屋に上がらせてもらいました。
両親もいきなり理恵が変になったから、心配で仕方が無かったらしいです。
理恵は今まで見た事も無い、言い方は悪いけど「カサカサでしなびた」顔になっていました。
俺は友人から聞いた話をしました。
ずっと終始うつむいたまま、理恵は俺の話を黙って聞いていました。
浮気をした事実や俺を裏切った事実は変わらないけど、でも事の発端は俺なんだって。
高校時代の話を初めて理恵にしました。
だからもうそんなに苦しまないでくれって言いました。
理恵は急に泣き出し、両親も様子を見に来るぐらい号泣し始めました。
結局理恵は仕事辞め、母方の実家へ引っ越して行きました。
理恵は近所の病院に通院していたらしく、俺はせっせと現状を手紙に書いてはおくっていました。
約2年間、返事も無い手紙を書いてました。
ある日実家に理恵から電話があり、久し振りに喋って会う約束をしました。
新幹線に乗り会いに行くと、理恵は昔と同じような元気な姿に戻っていました。
理恵の運転で季節外れの海へ行き、防波堤に座っていろいろ話しました。
俺はずっと理恵が俺の被害者だと思っていたし、良ければ結婚もしようと思っていました。
でも理恵はそうは思っていませんでした。
「アタシに会えば絶対あの事は忘れないでしょ？だからもう会うのはヤメようよ」
過去を知らない地元の人が理恵を気に入ってくれていて、結婚しようと思ってると言ってました。
2人でいたら一生2人とも苦しいから･･って。
「これだけは絶対ウソつかないで答えてくれ」
そう言って俺は「今幸せ？」と聞きました。
そしたら泣きそうな顔をして「前よりはずっと幸せだよ」って言ってくれた。
前よりも･･ってのはいつの事なのか分からないけど、その顔を見て思わず俺も泣いてしまった。
そんな理恵が来月結婚します。
俺は呼ばれていませんが、結婚の事と式の日が書いてある手紙がきました。
全ての原因は俺の些細な意地悪です。
もしかしたら俺のせいで、理恵だけじゃなくて青木の人生も変えちゃったのかなって思います。
スッキリしたオチなんてありませんでしたが、これで終わりにします。
創作だと思ってもらって構いません。その方が楽しんでもらえるかもしれないので。
随分と長い投稿になった事をお詫びします。
最後までお付き合い下さった皆様、有難う御座いました。
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