個人的な付き合いは無いので、自宅なんて知ってるわけがありません。
でも放置するわけにもいかないので、渋々タクシーで送る事にしました。
何度も間違えてやっと辿り着いたマンション。
オートロックだったので、1時を過ぎてたけどインターフォンを鳴らしました。
すぐに嫁さんが出て下まで迎えに来たんですが、見てビックリのアズサ登場です。
もう目が点というか固まって動けない俺に、アズサはいつもと変わらぬ態度で接してきました。
実は俺と直接会った時に報告しようと思ってたらしい。
内緒にしてて結婚式当日にバラそうとしたが、俺が来なかったからバラすのを延期してたと言ってた。
ビックリしたでしょ?!と楽しそうに喋るアズサを見て、とてつもなく可哀想な思いになった。
本気で惚れてた女が、こんな性格の悪い女っ垂らしと結婚しただなんて・・・
アズサに手伝ってもらって部屋まで永瀬を運んだ。
寝室のダブルベッドを見た時は、胸が締め付けられる想いだった。
アズサは俺が聞きもしない話を、コーヒーを飲みながら小一時間も喋ってた。
いつ俺を驚かせようか企んでいた計画が、その日でパーになった悔しさもあったらしい。
重い足取りで帰宅した俺に、永瀬に変わってアズサから有難うのメールがあった。
次の日、永瀬は「昨日は悪かったな~今度女紹介してやるからさ」と言ってた。
アズサと結婚してからも俺が知る限り4人と浮気してやがるし、怒りと悲しさと遣る瀬無さがゴチャゴチャな毎日だった。
永瀬を運んだ日から1週間ちょいした頃、バイト仲間と呑む事になった。
行ってみるとアズサ計画がオジャンになった事を皆が悔しがり、お前はホントタイミングが悪いと終始言われ続けてた。
いつも通り呑んで終電で帰ろうとしていた時、アズサからメールがきた。
ん?と目の前のアズサを見ると、なぜか「うんうん」と頭を小刻みに動かして頷いてる。
メールを見てみると「相談したい事がある」とだけ。
「いいよ」と返信し、みんなで帰る時に帰る素振りをして合流した。
どうした?
旦那の事で聞きたい事があってね~
あぁ~何んだ?
明日早い?
まぁいつも通りだけど
じゃ少しだけ付き合ってよ
タクシー代よこせよな
独身男がそんな事言うな!
こんな会話をしながら、何度か行った事のある静かなバーへ入った。
酒を飲み出して早々に「ウチの人浮気してない?」という直球な疑い。
さぁ~どうだろう・・・嘘の上手くない俺に聞くアズサは正しい。
その一言でスグにバレたらしく、根掘り葉掘り聞かれた。
俺は分からないを貫いたが、いつもと違って厳しい顔のアズサにずっと問い詰められてた。
認めない俺に不貞腐れたのか「もういい!」とアズサは酒を飲み出した。
呑むスピードが早くて「やめろって」と止めたが言う事を聞かない。
「何かあったのか?」と今度は喋らす方向に持って行くと、ペースが下がり浮気の兆候を喋り出した。
俺が知る限り4人と浮気してるわけで、もしかしたら毎週違う女と遊んでるかもしれない永瀬。
酔って帰ってきた時にボディーソープの香りがしたり、日曜の昼に出掛けて行ったりとするらしい。
別にアズサを蔑ろに扱ってるふうではないらしいが、女の影があるというだけ。
途中で泥酔し始めたアズサは絡んでくるようになり、その姿が痛々しく思えた。
タクシーに乗せてマンションの入口まで送り、一応俺は紳士を貫いたw
それからすぐにアズサが永瀬に、実は俺とはバイト仲間だったと話したみたい。
泥酔した永瀬を送ってもらってるから、今度食事に誘おうと提案したとか。
んで次の週末にお宅訪問となって、微妙な緊張感の中食事をする事になった。
アズサは酔わせてボロを吐かせようとする魂胆だったのか、永瀬にガンガン酒を飲ませてた。
永瀬もアズサの甘えには弱いらしく、嫌々言いながらも呑んでた。
その光景を傍目で見ていた俺は、実はアズサって相当な女なんじゃないかと思い始めてきてた。
3時間もしないうちに永瀬は呂律がまわらないほどになり、アズサの攻撃が開始。
俺はほぼ傍観してたが、永瀬は全く浮気のボロを出さなかった。
マジでさすがであるw
口調は喧嘩腰ではないが、水面下ではバチバチ火花が散ってる雰囲気。
参ったなぁーとチビチビ焼酎を飲んでいると、我慢の限界だったのか酔った永瀬の攻撃が始まった。
もうこれを聞いて酒を口から吹き出すかと思ったぐらい衝撃的な内容。
『つーか毎晩なんて無理なんだよ!お前の性欲が強過ぎるのは俺のせいじゃねーだろ』
『ちょっと!何言ってんのよ』
『こっちは疲れて帰ってきてんのによぉ、だからオモチャ買ってやったろ?』
『もうヤメてよっ』
『買ってやってもスグ壊すし、お前の性欲が凄過ぎるの!分かる?』
『変な事言うのやめてよ、○○がいるんだから!』
『もういいよ、なぁ?○○、毎晩求めてくる女なんてそういないよな?』
『えっ?まぁ・・・いないっすかね・・・』と俺。
『ちょっ!もうヤメてってば』
『毎晩俺ができないから浮気を疑う女ってのもおかしいよな?』と永瀬。
『俺はモテないんでできますけどw』とアズサを一応フォロー。
『もうこれで4つ目か5つ目だぜ?オモチャブッ壊したのも。俺までぶっ壊れるっつーの』と永瀬。
『まぁまぁ、新婚なんだし仲良くいきましょうよ、ね?』
つづく
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