公立の小学校で教えてた頃、モロに好みな先生が赴任してきた。
残念な事に彼氏がいるとすぐに判明し、同僚たちも落胆したのを覚えてる。
少しでも仲良くなろうと頑張る同僚もいたが、完全にシャットアウトするオーラ。
飲みに行っても1軒目で必ず帰り、付け入る隙が全く見当たらない。
典型的な美人タイプで、ハッキリとした顔立ちをしてた。
とりあえず名前は成美としておきます。
AV女優の紗奈っていますよね、あんな感じでネコ系の顔立ちです。
身長は165cmぐらいあったんじゃないかな。
スレンダーで高身長、しかも某国立大卒という才色兼備。
仲の良かった女の先生がいうには、彼氏もカッコ良くて美男美女カップルとの事。
ブサイクでモテない男には手の届かない女。
だから俺は希望も持たず、ただの同僚として見ていた。
特別喋る用事も滅多に無いし、成美も眼中に無い同僚と思っていたはず。
そんな成美が一瞬で手に届くようになった出来事がありました。
成美が赴任してきて1年後、俺は職場を辞めました。
以前から誘われていた職場に晴れて移動する事が決まったので。
公務員としての安定感は捨て難いが、昨今の公立は精神的にも厳しいモノがあります。
どうせ1人身だし動くなら今かなと思いました。
職場が変わったので、俺は引っ越しもしました。
新たな街で生活を始め、辞めて半年ほど過ぎた頃、学生時代の友人と飲みに行ったんです。
引っ越したお陰で近所になり、暇さえあれば飲みに行ってました。
友人は既婚者なので、派手な飲みはできません。
でもある時、パチンコで大勝ちしたようで、初めてキャバクラに行こう!と誘われました。
正直キャバクラは苦手な俺は、渋々誘いにのりました。
どうせお客だからその態度なんだろ?って思ってしまう、ひにくれた性格なんです。
友人は周りの知り合いに聞きまくり、お薦めの店を決めてきていました。
店に入り3人目のキャバ嬢がやってきた時、俺もキャバ嬢も固まってしまった。
お察しの通り、そのキャバ嬢は成美だったんです。
隣に座ってアタフタと焦る成美。
こんな状況で再会するとは思っていなかった俺も、何を喋ったら良いのか焦るわけです。
その異様な状況を誰かが察したんでしょうね。
突然ボーイが来てゴニョゴニョ耳打ちし、成美はモノの5分程度で戻って行きました。
調子に乗る友人は帰る素振りも無く、延長を2回もしてくれました。
おかげで終始俺は成美の目が気になり、元々嫌いだったキャバクラが猛烈に居心地の悪い空間になっていました。
やっと解放されて帰る間際、トイレに寄って出てくると成美がいました。
『これ・・連絡して下さい』
そう早口で言って名刺を手渡され、素早い動きで店内へ消えていきました。
他のキャバ嬢にお見送りされ外に出ると、友人はご機嫌でメール中。
どうしようかなって考えましたが、思い切ってメールする事にしました。
『お久し振りですね。あんな店で出会うとは驚きました』って。
1分もしないうちに返信があり、この事は内密にお願いしますと書いてある。
あぁー彼氏には秘密って話かなと勘違いした俺は「大丈夫ですよ、会う事も無いでしょうし」と的外れな返事をしてしまいました。
「くれぐれも宜しくお願いします」って返事。
アホな俺は全く本質を見抜けぬまま、歩きながら友人に喋ったんです。
「それってヤバくねーか?だって公務員だろ?」
あっ!って思いました。
そうか、そういう事か。
テンパってた俺は重要な事に気がつかず、恥ずかし過ぎる勘違いをしてた事に気がつきました。
自分の事じゃないのになぜかドキドキする。
確実に成美は法を犯しているし、バレれば即刻クビです。
クビになれば彼氏にも、両親にもバレるでしょう。
焦燥感に駆られながら歩いている自分が、本当に不思議でした。
どうする事も出来ないまま数日が経ち、あの時行った友人から連絡がありました。
指名したキャバ嬢と同伴で店に行ったら、まだ女教師が働いてたぜって。
同伴した子に探りを入れたら、借金じゃないかって言ってたという。
それはないだろって思いつつも、なぜ働いてるのか気になり出しました。
だから思い切ってメールしてみたんです。
「何か他人には言えない事情があるんですか?あるんだったら相談に乗りますよ」
俺は下心ではなく、どうしたのかなって思っただけなんです。
それなのに「もう放っておいて下さい!迷惑ですから」みたいなメールが。
ちょっとイラっとしましたが、公務員なんだから・・って言いました。
「そんなの百も承知でバイトしてる、脅す気ですか?だったら友人の弁護士に相談しますよ」
みたいな喧嘩腰のメールが返ってきたんです。
コイツ何言ってんだと呆れちゃいました。
もうシカトしとこうって思いましたが、時間が経てば経つほどイライラが募ります。
何で俺がそんな言われ方されなきゃいけんだってね。
だからそれを友人に愚痴っちゃったんです。
ニヤニヤしながら友人は「だったらセフレにしちゃえよ」と言い出した。
「そんなの無理に決まってんだろ」
「無理じゃないだろ?だってお前弱味握ってんだぜ?」
「訴えられたらどうすんだよ、絶対無理だね」
「そんなヘマしなきゃ余裕だと思うぞ」
コメント
毎回、楽しい文章ありがとうございます。
新作楽しみにしております。
投げ銭しても良いくらいの文章ですね!