話をまとめると、会社のトラックで事故ったらしい。
だけどその会社が対人保険に入って無かったとかなんとか。
多分・・とか、確か・・とか、彼女自身もよく分かって無かった。
巻き添えをくった車に乗ってた人が怪我したらしく、その慰謝料を会社と折半したらしい。
折半したらクビにしないという約束で。
なんだか無茶苦茶な話だけど、田舎で仕事もないから仕方が無かったって言ってた。
しかも最悪な事に、その件でストレスが溜まったのか、事故処理が終わってスグにお父さんが脳梗塞で倒れたって。
昼間だったからすぐ病院に運ばれて助かったらしいけど、まだ1人じゃ起き上がれないんだって。
「それで介護するから生活費が無くて?」
「うう~ん、そうじゃなくて、折半する時にお金が足りなくて」
愛にはお兄ちゃんが二人いたが、足りない分を愛だけで負担したらしい。
その足りない分だけの為に、1回だけAVに出たとか。
本当は風俗で働こうか迷ったらしい。
でも何人も相手にしなきゃいけないし、自分には出来ないと。
それで1日で終わるからと言われて、AVを決断したって。
普通そんな理由じゃAVなんかに出ないでしょ。
俺の頭には?????の連続。
初めは顔にモザイク入れる予定だったらしい。
でもそれだけで報酬が全然違って、それじゃ足りなかったんだってさ。
「それじゃ、もう出ないって事だよな?」
「うん、もう出ない」
「生活費はどうしてるんだ?」
「夜スナックで働いてるから、それは大丈夫」
「お前・・接客できるのか?」
「うん出来るよ。だって近所の昔から知ってる人ばっかりの店だから」
「そっかぁ・・・」
「だからアタシでも大丈夫なの」
愛はテーブルに両肘を付けながら、ニコニコして俺に言った。
昔と変わらないような、でも確実に変わった彼女がいた。
その顔を見てたら涙が出そうになった。
「なんで俺に言わなかったんだよ、あんなのに出るぐらいなら電話してこいよ」
「う~ん・・・だって連絡先分からなかったし」
「だったら俺の家に来たらいいだろ!」
「そ~だけど・・・・・心配するかなって・・・」
「あんなのに出た方が心配するに決まってんだろ」
言ってたらやっぱり涙が出てきた。
3年間付き合ってて、結局信頼関係は築けてなかったんだって思っちゃって。
あの3年間は何だったんだろって思いながら、涙が止まらなかった。
だって普通なら、AVに出るより俺に借りに来るでしょ。
もしくは友達に借りるとか。
まぁ、後で聞いた話じゃ、友達みんなに頼んだんだってさ。
でも田舎暮らしで誰も貯金なんてしてなかったみたいで、誰も貸してくれなかったって。
「ゴメンね、心配させちゃって・・・」
「いや・・・いいんだけどさ」
「本当にごめんなさい」
その後、愛は実家の話をしてくれた。
実は俺と別れる理由ってのが、実家の両親だったみたい。
2人の兄貴は疎遠になってて、60過ぎた両親の面倒をみなきゃって。
両親は大丈夫だって言ってたみたいだけど。
地元で結婚して両親をみなきゃだから、俺を巻きこめないと思ったんだってさ。
ぶっちゃけ、AVに出ちゃった子と、またやり直す自信はなかった。
そんなもん関係ねぇー!って言えるほどの男気は無かった。
たぶん愛もそれは望んでなかったんだと思う。
これから先いっしょになっても、ずっとその追い目に苦しむだろうし。
2時間ぐらいファミレスにいて、近くのスーパーで買い物をした。
俺は愛の両親にケーキを買って、二人で家に戻った。
今度は快く迎えてくれて、その日の夕飯を御馳走になって帰った。
「ホテルに忘れ物置いてきちゃったから、明日朝持ってくるわ」
そう言ってホテルに戻った。
戻ってから3時間ぐらいかけて、俺は愛への手紙を書いた。
そしてその手紙と銀行でおろした400万を、愛に届けた。
余談だけど、400万をスグにおろせなくてビックリした(笑)
田舎だったからかな?
書類を入れるブリーフケースにお金と手紙を入れた。
中を見ようとするのを止めて、最後に握手をした。
もうこれで会う事もないって思うと、また涙がでそうだった。
このお金は、愛との将来の為に貯めたお金です。
だから愛以外の女性に使うと失礼だから、全部愛にあげる。
俺には他にも貯金があるから、心配は無用です。
それじゃ元気で。
3年ちょっとの間、楽しい夢をありがとう。
これが手紙の中身です。
いろいろ悩んだけど、けっきょくこんな事ぐらいしか書けなかった。
これがここ3日間の出来事でした。
みなさんからの温かい励ましやコメントで、自分じゃ信じられない行動ができました。
今ではすっきりした気分です。
コメントでも指摘されましたが、彼女1人だけのDVDではありません。
素人・・・っていうタイプのです。
それから冷静になって思うけど、やっぱり頭が??な子だったのかも。
未だになんでAVなんだよ!って思いますから。
みなさん、本当に有難う御座いました。
心より感謝します。
終わり。
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