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初めての不倫体験⑯

缶コーヒーを飲んでいるとそこにトラックがやってきた。
家具が届いたのだ。丁度良いタイミング。
この家具のせいで、今日は朝から直接ここにやってきたのだった。

家具の位置を指示しながら、全てが運び終わったのは14時過ぎ。
恭子が街中に出掛けて行き、美味しそうなランチやお茶を買ってきた。
新しい家具で私達はランチを食べた。
食事中もずっと家具の配置について、お互いに話をしていた。
食事も終わり、また配置の入れ替えなどをした。
気が付けば外は真っ暗。
というか酷い濃霧だった。
TVを見てみると、軽井沢一帯に濃霧警報が出ていたのだ。

数メートル先すら見えない霧。
これでは帰れない。
ずっと働きっぱなしだったので、少し休憩を取る事にした。

『上にベッドがあるから、そこで休んでたらイイよ。
俺はちょっと企画書の整理をしてるから』

あんな高級なベンツを、この濃霧の中運転なんてしたくない。
疲れたからと言われて、途中で交代もしなくない。
恭子には休んでもらわねば。

妻に電話をして、濃霧が納まってきたらこっちを出ると伝えた。
いつになるか分からないから、夕飯もいらないし寝ててくれと。
そして私はノートパソコンをテーブルに開き、仕事に取り掛かった。

21時。
外に出てみる。
まだかなり霧が濃い。
だがさっきよりはだいぶマシになったようだ。
もう少しで帰れるかも。
そう思い中に戻る。
そして2Fにあがり、寝室の扉をノックした。

『藤村さん?だいぶ前より霧がマシになりましたよ』

まったく返事がない。
あれ?と思い扉を開ける。
彼女は寝ていた。
洋服がシワになるのをためらったのか、上着だけ脱いでベッドの上に横たわっていた。
吸い込まれそうな寝顔。
私はしばし見とれていた。
そして何を思ったのか、その唇に自分の唇を重ねてしまった。

つづく。

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