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初めての不倫体験④

0時をまわる頃には、社長も上司もかなり酔っ払っていた。
私はママに言って、タクシーを4台呼んでもらった。
上司をそれぞれ乗せて、運転手に行き先を伝える。
最後の1台には、女子社員と私が乗る。
1人1人降ろして、最後に私が帰る乗り合い状態だ。

無事に上司を乗せ終わり、私達はタクシーに乗った。
私はもちろん助手席。

まずは広尾、そして初台、高円寺、十条。最後に私の家。

タクシーに乗った直後、私は初めて女子社員の本音を聞く事となる。
今日の飲み会の愚痴を、後ろで話し出したのだ。
社長に耳元で喋られてキモかった...
偶然を装って、上司にモモを触られた...
あのハゲが腰に手をまわした...
今までの笑顔だった女子社員の本音。
私は何も言わずに聞いていた。

『でも中島さんは偉いですよね~。みんな嫌がってて来なかったのに』

若い派遣社員が言った。

『これも仕事だからね。飯塚さんに来いって言われたら仕方がないし』

後ろで愚痴を言う社員の声を聞きながら、私は外の光景を見ていた。
0時を過ぎると、この不景気にも関わらず、タクシーの数が増す。
天井についているランプが消えているから、ほとんどがお客を乗せているのだろう。
俺みたいな平社員は、上司の接待以外でタクシーに乗るなんてありえない。
まぁーこんなもんだろ。
領収書をもらって乗る時はあるが、そんなに多くは領収書として落とせない。
タクシーに乗って自腹で1万使うなら、カミさんに何か買ってやる。
そうしたらしばらくの間はご機嫌なんだ。
いつも小言を言われている。
ケーキの一つでも買ってきてくれたら、少しは機嫌が良くなるのに...と。

つづく。

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