数年前、俺はよくパチンコ屋に通っていました。
俗にいうパチプロもどきってヤツ。
パチじゃなくてスロット専門で通ってました。
朝から並んで、設定変更を狙う。
調子が良い時は日当10万以上もざらな時代でした。
ただ朝早く並ぶのが辛かっただけで。
地元から電車でちょっと下ったエリアに通ってました。
ライバルが少なくて、俺にとったら勝ちやすいホールがあったので。
土日以外のほぼ毎日、朝から並んでました。
毎朝並んでいると、並んでいるメンツって決まってくるんです。
別に喋らないけど顔馴染みって感じで。
暗黙のルールってものあって、常連同士だと割り込んだり横取りはしない。
顔馴染みの中に、いつもキャップを深々と被っている女の子がいました。
多分恥ずかしかったんでしょうね。
女の子1人で並んでたんだし。
ある新台導入2日目、朝並んでいると、馴染みじゃないグループがやってきました。
ツレ打ちっていって、数人のグループでツルんで打つ奴ら。
俺は3番目で、6番目からそのグループが並んでいる状態。
新台は5台しか無いから、並んでも意味無いのに。
開店と同時に扉が開きました。
もう一気に流れ込む感じ。
その時、小さな悲鳴みたいな声を聞きました。
が、俺も新台確保でダッシュ。
台を確保して周りを見ると、なぜかあのグループの1人が台をキープしていました。
おかしいなぁ~と思っていると、キャップの女の子が後からやってきました。
あ~押されて邪魔されたんだなってスグに分かりました。
グループのヤツはヘラヘラ笑いながら、友人と談笑中。
キャップの女の子は一度見にきて、台が空いていない事を確認して去っていきました。
前日15万ほど勝っていたので、俺は女の子を探しました。
その子は違う機種を物色していました。
『ねぇねぇ、押されたんでしょ?』
『えっ?まぁ~』
『俺昨日勝ってるから、あの台やる?』
『いえいえ結構ですよ~』
『俺違うので狙い決めてるのあるし、実はそっちの方が気になってるし』
『そうなんですか?なんか悪いですよ』
『全然平気だよ。ほら、こっちこっち』
俺はキャップの女の子に新台を譲りました。
別に下心があったわけではなく、可哀相だったから譲っただけ。
ちゃんと狙い台もあったし。
しばらく打っていると、女の子がコーヒーを持ってきました。
『スグに当たって、今2箱目なんです。代わりましょうか?』
『いやいや、これもイイ感じだから、気にしないで打ちなよ』
その後新台を見に行くと、俺が確保した台が爆裂中。
あのグループのヤツが確保した台は全然ダメ。
昼前でヤメたらしい。
俺はというと夕方までに4箱出して、その日も七万ちょっとの勝ち。
つづく
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