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AV女優だとは知らなかった③

カヨと付き合いだして四ヶ月が過ぎた。
会えば最後はカヨの部屋に行き、リビングや隣に同居人がいる状態でセックスをヤリまくった。
聞こえちゃうから・・・といつも声を押し殺すカヨ。
どうせバレバレなのに。

帰る時はいつも同居人は涼しい顔をしていた。
どうぞご勝手に・・・そんな感じ。
申し訳ない気持ちはあったが仕方がない。
だから俺はいつもお土産を持参していた。
出張で出掛けたら、同居人にもお土産を買った。
何も無い時は、ワインや焼酎の差し入れを。

忘れもしない1月17日。
仕事で先輩と青山にいた。
ちょっと暖かい春のような日。

表参道を歩きながら、ふと向かいの歩道を見た。
あれ?カヨじゃん?
カヨが男と笑いながら歩いている。
雰囲気が怪しいと感じた俺は、カヨに電話をした。

3コール目・・・4コール目・・・
視線でカヨを追っている俺。
するとカヨは電話に気付き、携帯をバッグから出した。
しかし携帯を見て、そのままバッグに戻したんだ。
これって完全に俺って分かった上でシカト?
もしかしたら仕事中かもしれないし・・・
出れない状態だったのかもしれないし・・・

モヤモヤした気分で会社に戻った。
その日の夜、カヨから電話があった。

「ゴメンねぇ~電話に気が付かなかったぁ~」

ウソじゃん。
携帯を手に取って、着信を確認してたじゃん。

「あ~そうなんだ。仕事中だった?」

「うぅ~んん、友達と買い物行ってたんだぁ~」

「どこ行ってたの?」

「池袋にいたよぉ~、結局何も買わなかったけど」

完全にウソを言っている。
青山にいたじゃん。あれは見間違えか?

「そっかぁ~今日は暖かかったな。コート着て行ったの?」

「今日は白いワンピに、ジージャン着てただけだったよ」

って青山で見た時の洋服そのまんまじゃん!
俺にウソをついてまで・・・
やっぱり不安は的中したんだ。浮気してるんだ。
もしかしたら、二股かけられているのかも。
いや・・・新しい好きな人ができて、乗り換える準備なのかも・・・

最悪な気分だった。
大好きだった彼女の浮気。
裏切られたショックで、ただただ呆然としていた。
いつ電話を切ったのかすら記憶になかった。
その日俺は眠れなかった。
一睡もできぬまま朝になった。
朝になっても気分は最悪のまま。

夜になり、ご飯食べてたから帰るという彼女。
どうにも信じる事ができない。
また浮気してるんだろ・・・

そんな日が何日も続いた。
裏切られたと知っても、俺はまだ彼女が好きだった。
それでも彼女を許せるような男でもない。
ただひたすら、悶々とした日々が続いた。

彼女の浮気を知ってから2週間ちょっと。
俺は我慢できなくなって、何も言わずに彼女宅を訪れた。
部屋の電気はついている。

インターホンを鳴らした。
対応したのは同居人だった。
扉を開けた彼女は驚いていた。

「あれ??カヨは?一緒でしょ?」

「えっ・・・やっぱり・・・そっかぁ・・・」

気分は最悪だ。
エレベーターに向かおうとした時同居人が言った。

「とりあえず部屋でお茶でも飲んでよ、ねっ?」

リビングで同居人と気まずい空気。

「カヨは今日どこ行くって?」

「あ・・・どこだったかな・・友達とご飯食べるとか・・・」

「もうイイよ。全部知ってるから。」

「全部って??」

「他に男がいるんだと思う。今日だってその男といるんだろうし」

「う~ん・・・そっかぁ・・・」

また沈黙。
しばらく経って同居人が言った。

「たぶん今日は帰ってこないと思う。泊まるとか言ってたし」

「そうか・・俺にはちゃんと帰るから、帰ったら電話するって言ってたけど」

もうお互いに何も言えなかった。
ただただ沈黙が続く。
もうここにいても意味無いか。
間違いだったって思いたかったけど、どうしようもないな。

「じゃ俺帰るね。部屋に上がり込んで悪かったね」

「ううん。そんなのイイよ。それより大丈夫?」

「もう2週間も悩んでるから大丈夫。今までありがとね」

そう言って俺は玄関に向かった。

「ねぇ?これから飲もうよ!ねっ?呑もう呑もう!」

そういって同居人は俺の手を掴んで、リビングに引っ張っていった。
このまま帰ってもな・・・
どうせ眠れそうもないし・・・
呑んで呑みまくるか!

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